JSHR工法
工法概要
現在、場所打ち杭拡底工法は拡底径の大径化が進み5mを超える工法も出現してきましたが、アースドリル拡底工法は掘削した土砂をバケットに沈降し取り込むことに時間を要し、拡底掘削に多くの時間を割いています。さらに、拡底縁端部のスライムの除去に複雑な機構を使用しているためトラブルの原因となることに加え、スライム処理に時間を要するにも関わらず、十分にスライムの除去できていないのではないかという不信感も払拭出来ているとは言い難い状況です。
今般、私どもジャパンパイル株式会社、株式会社菅原建設、八州建機株式会社の3社は、こういった問題点を解消すべく、リバース工法による拡底杭工法、JSHR工法を開発し、平成27年11月27日付で一般社団法人 日本建築センターより評定を取得しました。
リバース工法は過去に場所打ち杭の主流であった時期もあり、品質的にも優良な場所打ち杭工法です。しかし、ポンプ送泥による掘削土砂の排出するため、軸部掘削の際、特に粘性土地盤においては孔壁を保持する泥水の劣化が著しく、産業廃棄物となる泥水処理量が多いことが負担となるとともに、アースドリル工法施工機の大型化に伴い最近では建築分野ではほとんど使用されなくなっていました。
そこで私どもは、砂質土・礫質土が主体となる支持層部分の拡底掘削に特化してリバース式拡底杭工法 (JSHR) の開発に踏み切り、当面以下の2パターンの施工を中心に普及に努めてまいります。
(1) 全周回転掘削機による既存構造物撤去後継続して杭築造を行うパターン
障害物撤去および軸部掘削を行う掘削機のベースマシーンは、クローラクレーンですので、全周回転掘削機の設備以外に重機を投入する必要がなく、工程の短縮、構造物撤去に伴う残土処分費、埋戻し土のコストが大幅に削減できます。
(2) アースドリル工法による軸部掘削後長尺・大径の拡底掘削を行うパターン
大径の拡底掘削時間が大幅に短縮できコストの削減につながります。
また、掘削システムそのものがスライム処理の機能も備えているため、短時間で完璧な一次スライム処理が可能です。
*カタログ・認定書のダウンロードはこちら
JSHR工法 | カタログ(667KB) | |
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評定書 評定報告書(655KB) |
施工法
《概要》
JSHR工法は、杭の軸部を通常の場所打ちコンクリート杭工法で使用される掘削機(オールケーシング、リバース、アースドリル)によって支持層の所定の深度まで掘削した後、JSHR拡底掘削機を用いて拡底掘削し、杭先端を拡大することで高い支持力を得ることができます。
拡底部掘削の状況や掘削深度は、オペレータールームに設置した施工管理装置によりリアルタイムに確認できます。
《施工順序》
(1) 全周回転掘削機による既存構造物撤去後、継続して杭の築造
(2) アースドリル工法による軸部、掘削後、長尺・大径の拡底掘削
《コンクリートの許容応力度》
コンクリートの種類 | 普通コンクリート・高強度コンクリート | ||
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長期 | 圧縮 | せん断 | 付着 |
Fc/4 | Fc/40又は 3/4{0.49+Fc/100} のうち何れか小さい数値 |
3Fc/40又は 3/4{1.35+Fc/25} のうち何れか小さい数値 |
|
短期 | 長期の2倍 | 長期の1.5倍 | 長期の1.5倍 |
《コンクリート設計基準強度》
コンクリートの設計基準強度は、18~60N/mm2とします。なお、コンクリートの呼び強度は、設計基準強度とします。
構造体強度補正値は 普通コンクリート(18≦Fc≦45)の場合 28S91=0N/mm2
大臣認定を受けた高強度コンクリート(45<Fc≦60)の場合 認定内容による。
《支持力発現方法》
専用の拡底ビット(JSHR掘削機)により杭先端部を拡大し杭底面積を増大することで支持力を発揮することが出来ます。
《拡底掘削機の種類と適用範囲》
掘削機種名 | 適用杭径 | 最大拡底率 | 最大傾斜率 θ | |
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軸部径d(mm) | 拡底径D1(mm) | |||
Ⅰ型 | 1000~2300 | 1100~2300 | 4.00 | 12° |
Ⅱ型 | 1200~2600 | 1300~2600 | 4.00 | 12° |
Ⅲ型 | 1400~3400 | 1500~3400 | 4.00 | 12° |
Ⅳ型 | 2000~4100 | 2100~4100 | 4.00 | 12° |
Ⅴ型 | 2300~5100 | 2400~5100 | 4.00 | 12° |
ここで、 |
ⅰ.傾斜角は、軸径と拡底径により変化する。 |
支持層の確認方法
軸部掘削時に排出した土を目視にて、土質柱状図や土質試験のサンプルと比較し確認します。
支持力算定式
告示式や材料強度、各行政指導(建築構造設計指針/東京都建築構造行政連絡会)等を参照します。
施工
リバース掘削を行うため、地下水位より2m以上水頭差を確保できない場合は、施工が出来ません。また、N値が100を超える地盤の場合は適用が出来ないことがあります。
性能評定番号 | 取得年月日 | 適応杭径 | 適応先端地盤 | 適応施工長 |
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BCJ-FD0546-01 | H27.11.27 | 施工径 1.1~5.1m |
施工可能地盤 | 70m 程度 |