押込み試験
概要
杭頭部に油圧ジャッキを設置し、杭頭部に載荷する方法です。大掛かりな載荷装置が必要ですが、実建物と近い荷重条件で行えるため、杭の支持力に関して信頼性の高いデータが得られる試験方法です。このため、最も実績の多い試験です。杭体にひずみ計を設置することで、任意の深さの軸力がわかるため、各土層の周面抵抗力や先端抵抗力に関するデータが得られます。
押込み試験の全景
測定項目
加力装置
- 荷重:ロードセル
- 圧力計
- 変位:変位計(杭頭、先端)
- ひずみ:ひずみゲージ、鉄筋計等
試験結果
測定データをもとに、荷重、変位量、時間などの測定値が図示できます。一般的には、荷重、変位量および時間を軸にとった4象限の関係図(試験結果総合図)として総合的にまとめられます。
●試験結果総合図
Po~Sp 曲線
杭頭荷重Poと杭先端変位量Spの関係図から杭の極限支持力と見なせる第2限界抵抗力の判定を行います。第2限界抵抗力の定義は、「第2限界抵抗力は押込み抵抗が最大となったときの荷重とする。ただし、先端変位量が先端直径の10%以下の範囲とする」と地盤工学会基準において規定されています。
杭頭荷重~残留沈下量・弾性戻り量曲線
杭が第1限界抵抗力を超えると弾性戻り量に比べて残留沈下量が大きくなってきます。グラフ上では弾性戻り量曲線と残留沈下量曲線が交差する付近が第1限界抵抗力となりますが、第2限界抵抗力は他のグラフも含めて総合的に判断します。
●Log Po~Log So 関係
Log Po~Log So 曲線
一般的にLog Po~Log So関係から杭の降伏荷重とされる第1限界抵抗力の判定を行います。
図中に現れた明確な折れ点の荷重が第1限界抵抗力となります。
So~Log t 曲線
Log Po~Log So 曲線に明確な折れ点がない場合、So~Log t 曲線の直線性が失われる限界の荷重、⊿So/⊿Log t~Po曲線の⊿So/⊿Log tが急増する点の荷重から、総合的に第1限界抵抗力を判定します。