2007.10.01
杭の先端支持力に及ぼす土破り圧と先端形状の影響に関する模型実験(AIJ構造工学論文集2003)
山本春行(広島大学)・李 偉(広島大学)・冨永晃司(広島大学)・小椋仁志(ジオトップ)
■掲載誌:構造工学論文集,Vol.49B,p157-162
■発行所:日本建築学会
■発行:2003/03
高層建築物等の重量構造物を支持する場合、杭先端を拡大した拡底場所打ちコンクリート杭が多く用いられてきた。これは、周辺地盤の耐力に対して杭本体の耐力には一般にかなり余裕があるため、杭軸部径に対する先端径を相対的に拡大して地盤の支持能力に対する杭本体の支持能力をより経済的に利用するという杭基礎である,ただし、山崎らのFEMによる解析的研究によれば、杭先端面が平らなフラット型拡底杭では杭周方向に引っ張りひずみが生じるため、先端底面に引っ張り亀裂が発生する結果が得られている。また、先端が尖ったペンシル形状の杭では、周辺地盤から杭中心方向へ向かう拘束圧が発生するため、引っ張り亀裂が生じなくなることも示している。本研究ではこれらの現象を確認するための模型実験を実施し、その結果について述べる。なお、底面での亀裂発生を押さえるために先端を尖らせると杭の貫入性が増加し、同じ杭の貫入量における支持力が低下することが予想される。したがって、本研究では先端形状(先端部の尖り角度)が異なる模型杭による貫入実験を行い、支持力低下の度合いについても調べた。一方、現在の拡底杭の先端は強固な支持層に設置する場合が多く、中間層に留めるような場合は殆どない。しかし、地層構成や荷重条件から杭の沈下量を適切に押さえることができるならば、ある程度の層厚と堅さのある中間層に拡底部を留めるなど、より経済的な利用法も考えられる。本研究では、このような中間層に拡底杭を設置する場合も想定し、拡底杭の鉛直支持力に及ぼす土被り圧の影響を調べるために行った模型実験結果についても述べる。なお、本研究で用いた模型杭や地盤条件は特定の実大物を想定したものではなく、パラメトリックな検討のために採用したものであるが、杭先端底面の尖り部以外の幾何学的な寸法比は実大の標準的な拡底杭の寸法比に一致させている。また、杭の先端支持力を対象にしているので、想定した先端位置の深さに相当する地盤の拘束圧下での模型実験を行うことにより地盤の力学的な相似条件は近似的に満たされている。
■発行所:日本建築学会
■発行:2003/03
高層建築物等の重量構造物を支持する場合、杭先端を拡大した拡底場所打ちコンクリート杭が多く用いられてきた。これは、周辺地盤の耐力に対して杭本体の耐力には一般にかなり余裕があるため、杭軸部径に対する先端径を相対的に拡大して地盤の支持能力に対する杭本体の支持能力をより経済的に利用するという杭基礎である,ただし、山崎らのFEMによる解析的研究によれば、杭先端面が平らなフラット型拡底杭では杭周方向に引っ張りひずみが生じるため、先端底面に引っ張り亀裂が発生する結果が得られている。また、先端が尖ったペンシル形状の杭では、周辺地盤から杭中心方向へ向かう拘束圧が発生するため、引っ張り亀裂が生じなくなることも示している。本研究ではこれらの現象を確認するための模型実験を実施し、その結果について述べる。なお、底面での亀裂発生を押さえるために先端を尖らせると杭の貫入性が増加し、同じ杭の貫入量における支持力が低下することが予想される。したがって、本研究では先端形状(先端部の尖り角度)が異なる模型杭による貫入実験を行い、支持力低下の度合いについても調べた。一方、現在の拡底杭の先端は強固な支持層に設置する場合が多く、中間層に留めるような場合は殆どない。しかし、地層構成や荷重条件から杭の沈下量を適切に押さえることができるならば、ある程度の層厚と堅さのある中間層に拡底部を留めるなど、より経済的な利用法も考えられる。本研究では、このような中間層に拡底杭を設置する場合も想定し、拡底杭の鉛直支持力に及ぼす土被り圧の影響を調べるために行った模型実験結果についても述べる。なお、本研究で用いた模型杭や地盤条件は特定の実大物を想定したものではなく、パラメトリックな検討のために採用したものであるが、杭先端底面の尖り部以外の幾何学的な寸法比は実大の標準的な拡底杭の寸法比に一致させている。また、杭の先端支持力を対象にしているので、想定した先端位置の深さに相当する地盤の拘束圧下での模型実験を行うことにより地盤の力学的な相似条件は近似的に満たされている。