2017.08.25

拡底杭の引抜き特性に関する遠心載荷試験―その1:遠心力載荷模型実験概要(JGS2017)

飛田哲男(関西大学)、田中秀季(関西大学)、橋立健司(ジャパンパイル)、藤江雄大(ジャパンパイル)

■掲載誌:第52回地盤工学研究発表会(名古屋) pp.1177-1178
■発行所:地盤工学会
■発行:2017/7

 近年高層化が著しい建築物については,地震や風に対する振動により基礎に浮上りが生じることがある.これに対する反力として,杭の引抜き抵抗を利用することが考えられる.これまでの研究により,直杭と比較して杭の底部を拡げた形式の拡底杭が大きな引抜き抵抗力を有することが確認されている.しかし,大きな地盤内応力下での拡底杭の引抜き抵抗機構には不明確な点が多い.例えば,文らは,1G 場模型実験により密な砂地盤中の拡底杭の引抜抵抗に及ぼす拡底部の幾何形状の影響を調べ,拡底杭の全引抜き抵抗は拡底部の形状が直角に近づくほど増加するが,拡径部の存
在により拡径部上部付近の軸部の摩擦応力度は減少すると指摘している.平井ら3)は,遠心場80g(模型縮尺1/80)で砂質地盤(豊浦砂,Dr=90%)中の拡底杭と直杭の引抜試験を行うとともに,有限要素法による数値解析を行った.その結果,実務設計において拡底杭を引抜き抵抗杭として用いる場合には,十分な土被り厚を確保した深い基礎とし,拡底傾斜部下端から上方に2D から3D(D は拡底部径)の範囲の地盤が有する強
度や変形剛性に留意する必要があると指摘している.
 本研究の目的は,拡底杭の支持力式を導出することである.そのため,先端の拡径部における荷重伝搬機構を考慮して,拡径比の影響を定量的に評価する必要がある.そこで,縮小模型により実大規模の応力状態を再現できる遠心載荷試験により影響要因である拡径比(=拡底部下端の直径/軸部径)を1.5 または2.0 とし,また地盤の相対密度をDr=60%または90%とした場合の鉛直引抜き試験を行い,支持力機構の把握と極限負担荷重度の推定式の導出を試みる.

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