2015.10.20

鋼管の端部定着力を考慮した鋼管コンクリート部材の終局曲げ耐力評価 -新しい場所打ちコンクリート杭の開発-(AIJ技術報告集2015)

石川一真(ジャパンパイル)、本間裕介(ジャパンパイル)、岸田慎司(芝浦工業大学)

■掲載誌:日本建築学会技術報告集 Vol.21, No.49, pp.985-990
■発行所:日本建築学会
■発行:2015/10

 場所打ち鋼管コンクリート杭とは、場所打ちコンクリート杭の上部を鋼管巻きとした杭であり、地震時に大きな曲げモーメントやせん断力が作用する部分に鋼管を使用することで耐震性を高めた杭である。また、鋼管巻きとすることで杭径を細くできるため、掘削残土量やコンクリート使用量が少なく、環境負荷の低減に貢献している。
 しかし、従来の場所打ち鋼管コンクリート杭には、鋼管とコンクリートとの一体性を高めるために、内面全部にスパイラル状のリブの付いた特殊な鋼管が用いられており、鋼管の納期や価格の面で不都合があった。この問題を解決する為に、リブ等を有しない一般的な鋼管を使用し、鋼管内面の端部に溶接成型突起を付ける場所打ち鋼管コンクリート杭が開発されている。しかしこの方法は、溶接成型突起の加工に特別な装置を必要とし、汎用性に欠ける面があった。
 そこで筆者らは、溶接成型突起に替えて平鋼を丸め加工したもの(以下、突起リング 写真1参照)を隅肉溶接で鋼管に取り付けることにより汎用性を高め、さらに設計方法を工夫することにより突起リングを必要としないタイプも有する新しい場所打ち鋼管コンクリート杭を開発した。杭の概要図を図1に示す。鋼管コンクリート部(図1参照 鋼管鉄筋コンクリート(SRC)構造の場合と鋼管無筋コンクリート(SC)構造の場合がある。)の終局曲げ耐力は、鋼管端部の突起リングの量、すなわち鋼管とコンクリートとの定着力を考慮した設計式で評価することとし、定着力を変えた試験体の曲げ試験によって設計式を実験的に検証したのでここに報告する。

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