2007.11.15

地盤の塑性化を考慮した単ぐいの水平抵抗略算法(建築技術2004)

岸田英明(東京工業大学)・稲 国芳(武智工務所)・中井正一(清水建設)

■掲載誌:建築技術,p133-144
■発行所:建築技術
■発行:2004/8

  耐震構造は大地震による建物の被害を教訓にして発展してきたといえる。古くは明治24年の濃尾地震、さらには大正12年の関東地震による経験をもとにして、建物の上部構造の耐震性は、組積造から鉄筋コンクリート構造・鉄骨鉄筋コンクリート構造に重点を移すことにより向上した。しかし昭和43年の十勝沖地震で鉄筋コンクリート構造の弱点が明らかになり、それに対応してわが国の耐震設計は大きく変化し、いわゆる「新耐震設計法」が確立され、昭和56年6月より建築基準法が改正されている。
 基礎構造の分野では、昭和39年の新潟地震において飽和砂質地盤の液状化により建物に大被害を生じたが、液状化に関しては、その後の研究で発生条件と対策とが明らかにされている。地盤の液状化では建物が沈下・傾斜するために、建物の被害は一見して直ちに分かるが、くいが破壊したり、つなぎばりにひび割れが生ずる等の被害は地上からは簡単に調査ができない。このために地震直後の被害調査では基礎構造の被害はほとんど報告されないことが多いが、復旧工事で根切りをすると基礎構造の被害が生じていたことはほとんどの地震において認められている。

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