2007.10.01
実大杭の押し込み実験による節杭の支持力特性の検討(AIJ構造系論文報告集1988)
小椋仁志(武智工務所)・山肩邦男(関西大学)・大杉富美一(武智工務所)
■掲載誌:日本建築学会構造系論文報告集 No.386, pp.66-77
■発行所:日本建築学会
■発行:1988/4
円筒杭に数個の突起物を・持つ節付き円筒コンクリート杭(以下,「節杭」と呼ぶ)の支持力機構を検討するため,筆者らはすでに節杭を乾燥砂地盤内に貫入した時の杭周地盤の挙動をX線撮影によって調べる模型実験11を実施した。その結果,以下のことが分かった。(1)最下端の節部をも含めた節杭先端部の極限支持力度は,、節杭本体部と同径の円筒杭の先端極限支持力度の75%程度となる。(2)節杭の最下端節部より上方の周面抵抗は,節部下面での抵抗が大きく,節部と同じ径を持つ円筒杭の摩擦抵抗の約2.5倍,節部と同じ径の円筒面での地盤のせん断抵抗の約2倍となる。(3)節部下面は,杭の貫入量が小さい間は杭先端面と同様,下方の地盤を圧縮変形しコアを形成して周囲の地盤を外側に押し出そうとする作用(以下,これを.「節部下面の支持作用」と呼ぶ)が見られる。しかし杭の貫入量が大きくなると,杭周地盤に節部径より少し大きな直径を持つ円筒形せん断面が生じ,そのせん断抵抗が節部下面の抵抗の上限値となる。この値は,杭の根入れによる垂直圧に対するせん断抵抗に,節部下面の支持作用によって付加される垂直圧に対するせん断抵抗を加えた実験式で説明できる。
しかし,この実験は縮尺を1/5とした模型鋼管杭によるものであること,地盤として粒径が均一な乾燥砂を用いていること,杭を設置したあと周囲に砂を詰めて地盤を作製する方式であるため,杭を貫入することによる地盤状態の変化が入っていないことなどから,この実験結果を実際の杭に適用できるかどうかを検討する必要がある。
そこで,この模型実験で得られた諸現象や実験式を検討することを目的として,大型土槽を用いた実大杭の載荷試験を行い,実状に近い状態での節杭の支持力特性を調べることとした。本論文は,この実大節杭および比較のための実大円筒杭の載荷試験結果と,節杭の支持力特性の検討結果について述べたものである。
■発行所:日本建築学会
■発行:1988/4
円筒杭に数個の突起物を・持つ節付き円筒コンクリート杭(以下,「節杭」と呼ぶ)の支持力機構を検討するため,筆者らはすでに節杭を乾燥砂地盤内に貫入した時の杭周地盤の挙動をX線撮影によって調べる模型実験11を実施した。その結果,以下のことが分かった。(1)最下端の節部をも含めた節杭先端部の極限支持力度は,、節杭本体部と同径の円筒杭の先端極限支持力度の75%程度となる。(2)節杭の最下端節部より上方の周面抵抗は,節部下面での抵抗が大きく,節部と同じ径を持つ円筒杭の摩擦抵抗の約2.5倍,節部と同じ径の円筒面での地盤のせん断抵抗の約2倍となる。(3)節部下面は,杭の貫入量が小さい間は杭先端面と同様,下方の地盤を圧縮変形しコアを形成して周囲の地盤を外側に押し出そうとする作用(以下,これを.「節部下面の支持作用」と呼ぶ)が見られる。しかし杭の貫入量が大きくなると,杭周地盤に節部径より少し大きな直径を持つ円筒形せん断面が生じ,そのせん断抵抗が節部下面の抵抗の上限値となる。この値は,杭の根入れによる垂直圧に対するせん断抵抗に,節部下面の支持作用によって付加される垂直圧に対するせん断抵抗を加えた実験式で説明できる。
しかし,この実験は縮尺を1/5とした模型鋼管杭によるものであること,地盤として粒径が均一な乾燥砂を用いていること,杭を設置したあと周囲に砂を詰めて地盤を作製する方式であるため,杭を貫入することによる地盤状態の変化が入っていないことなどから,この実験結果を実際の杭に適用できるかどうかを検討する必要がある。
そこで,この模型実験で得られた諸現象や実験式を検討することを目的として,大型土槽を用いた実大杭の載荷試験を行い,実状に近い状態での節杭の支持力特性を調べることとした。本論文は,この実大節杭および比較のための実大円筒杭の載荷試験結果と,節杭の支持力特性の検討結果について述べたものである。