2007.11.15

異なる入力地震動レベルに対応する基礎応答スペクトル特性の長周期範囲における評価(AIJ1993)

佐藤耕司(東北大学)・KARKEE M.B.(ジオトップ).飛田 潤(東北大学)・杉村義広(東北大学)

■掲載誌:日本建築学会東北支部研究報告
■発行所:日本建築学会
■発行:1993/6

 近年、大地震時における地盤被害の重要性が一般の人々の間にも浸透しつつある。93年釧路沖地震においても地盤被害が報告され、構造物の建つ地盤が地震動に及ぼす影響を考慮に入れた設計の必要性が増している。このためにある地域を地盤条件等によりいくつかにゾーニングする`マイクロゾーネーション'の手法を用いて、都市内及び周辺部へのきめ細かな入力地盤挙動の評価が行なわれている。このとき、地盤の非線形性に関連して、入力地震動の大きさと、特に長周期範囲におけるスペクトル成分の評価が重要な問題となることが指摘されている[1]。そこで本研究では、地盤の非線形応答を考慮したマイクロゾーニングのための基盤入力地震動のスペクトル設定を、仙台を例として試みる。長周期成分を評価するために経験的グリーン関数法を用い、大崎スペクトルとも比較している。また、3通りの入力レベルを扱っている。ここで、応答スペクトルを使用した理由としては、建物の単純な数学的モデルに対して明快な物理的意味を表現していることから、入力地盤挙動を表わす際のパラメータとして適しているからである。また水平地盤挙動は、実体波(おもにせん断波)と表面波で構成されるが、せん断波と表面波の完全な分離ができず、また高次な表面波は実体波とともに到達することから、実体波とを見分けるのは困難である。これまでは長周期範囲を考える場合、表面波が水平挙動を支配する傾向があると思われていたが、Joy-nerandBooreはせん断波の方が支配的傾向を示すことを報告しており[2]、本研究においても、せん断波の解析を行なっている。

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